医療現場の現状 代替医療の分類

代替医療は一般的に以下のように分類されます。

第1に、各国の伝統医学、例えば、インドのアーユルベーダ、中国医学、ドイツのシュタイナー医学などです。

第2に、現代医学に対抗して生まれた比較的新しい医学体系で、ホメオパシーと呼ばれるものです。
例えば、熱が出たら、むしろ、その状態を促進するような物質を、ごく微量、殆ど存在しないくらいまで希釈し、使用することで、熱が出る傾向を鎮めようとする方法です。
これは同種療法とも呼ばれています。
西洋医学では、基本的に熱があれば解熱剤を使い、発熱を抑えて身体を楽にします。
これをアロパシーと言います。
異種療法とも呼ばれています。
熱が出れば解熱剤、頭が痛ければ鎮痛剤、細菌には抗生物質を……という療法です。
そもそも、これら薬剤は異種なので副作用があります。
ホメオパシーは、これとは全く逆の発想です。
約200年の歴史があります。
ヨーロッパでは根強い人気を持ち、広く一般に認知されています。
また、先述した自然治癒力を最優先する頭蓋仙骨療法のオステオパシーもホメオパシーに分類されます。
オステオパシーは、1892年に誕生しました。
今では、オステオパシーを教える大学が15校以上もあります。
特にアメリカでは、一般のアロパシー医学の医師と同じカリキュラムで履修されています。
多くの病院で二つの異なった分野の医師たちが、一緒に仕事をしているわけです。
尚、この分野には、他にも、カイロプラティックなどがあります。

第3は、全ての民間療法です。
これは世界中に数多あり、おばあちゃんの知恵のようなものもまで含まれます。

第4は、からだと心の繋がりに重点を置く「心身相関療法」です。
心身相関療法としては、イメージ療法、バイオフィードバック、催眠療法、アロマセラピー、音楽療法、光線療法、波動療法などが挙げられます。
情報社会の中では、ストレスが多くなり、心と深くかかわった病気に悩まされる人が増えています。
心身相関は、心身医学、心療内科の重要な基本概念となっています。

最後は、各種の健康補助食品です。
健康補助食品には非常に多くの種類があります。
日本やアメリカはこの分野が年々拡大しています。
日本では、これらのものは公的に認められていません。
しかし、先の「自己決定」の原理からすると、選択肢は本人の自由です。
例えば、高齢になって癌を発症したからといって、手術や抗癌剤治療を選択しない自由もあります。
ホスピスや在宅医療で家族に囲まれ、今まで通りに生活し、残された人生を好きなように楽しむ自由もあります。
その方が、免疫力が上がって癌の進行を遅らせ、癌と共存出来るかもしれません。
悪いものは全て取り除くという方法を本人が選択しないのであれば、医師は、それを強制する権限はない……と思います。

全人性(ホリスティック)とは、誕生から成長、老い、死という過程で、生命、生活、人生といった「人の生き方」そのものを「健康」として捉えていく事です。
「心とからだを切り離した事が現代医療の間違い」と、日野原医師も仰っていますが、心が癒されると、からだの具合まで良くなる事があります。
もちろん、その逆もあります。
私達の心とからだは実に深くかかわっています。
混沌とした現代社会には、心を病み、からだを病む人達、孤独の高齢者や病気を抱えた高齢者が大勢います。
だからこそ、予防医学や自然治癒力を重視する代替医療、また、それらをひとつにした統合医療が必要だと考えています。

医療(cure)と手当て(care)が分かち合う事で医療費は軽減され、様々な専門家が集まったチーム医療で本来の医療が可能となり、患者の望む最善の生の質が優先される……そうなることを願っています。

本来、医療の原点は「手当て」です。
小さい頃、お腹が痛かったり、頭が痛かったりした時、母の手が触れただけで、気分が楽になったり、痛みが和らいだりした経験はありませんか?
目指すは、「母親の魔法のような手」です。
最後まで、自分の選択でより良い人生を生き、最後まで、「ありがとう、お疲れ様」と感謝の愛を受けながら生きることができれば、私は幸せだと思えます。
ソシオエステティックの活動を通して、高齢者や患者の生き様に触れる度に、そう感じています。