医療現場の現状 QOLの向上

「バイオ・エシックス」の基本理念として、自己決定の原理を重んじる際、本人の生き方の選択が重要です。
その生き方の選択の基となる考え方が「生命・生活の質」です。
「生命・生活の質」は「クオリティー・オブ・ライフ」の訳で、略して「QOL」と言われています。
従来の医学の「科学」という側面を重視すれば、命を守る事が大切です。
患者本人が望もうが望むまいが、たとえそれが苦痛である事でも、各種の機器や管に繋がれ、意識を失ってもなお、延命措置を施すべきだと、全身の血液を脳に送る注射をされたり、人工呼吸器につながれたまま、肋骨が折れるまで心臓マッサージを施されたりします。
しかし、そうした医療行為のあり方に疑問を感じる人が増えて来ました。
そこで出てきたのが「QOL」の考え方です。
「QOL」の考え方では、患者の考える幸せや患者の望む最善の生の質が優先されます。
患者の意思を無視してまで、無理やり入院させたり、むやみに苦痛を与えたりするのは望ましくないとしています。
よって、「QOL」を重視するならば、医療従事者の務めは、無理やりに患者の命を生きながらせる事にあるのではないと考えます。
むしろ、患者本人にとって、より良い「生の質」を求める手助けをするべきではないでしょうか?
このように、医療の主体を患者本人に置く立場の基に「QOL」の考え方があり、「バイオ・エシックス」の基本理念となっています。
そして、「バイオ・エシックス」に裏付けされた「インフォームド・コンセント」の確立のためにも、ソシオエステティックが必要だと思っています。