フランスに於けるソシオエステティックの40年余りの活動結果から、ソシオエステティックの独自の手法とその効用について紹介させて頂きます。
先ず、「感覚的アプローチ」として、まなざしや言葉があります。
これは、ソシオエステティックに特有な行為で、とても大切だと考えています。
その上で、患者に直接「触れる」事が出来ます。
患者に触れる行為は、患者とのコミュニケーションを図る上で、最も重要な行為です。
最近の医療技術の発達は目覚しいものがあります。
しかし、それに伴って、人間的な視点が見失われ、基本的とも言える、患者の身体に直接手で触れる「触診」という行為が軽視された事もありました。
昨今、長い間忘れられ、認められる事のなかった「直接触れる」行為の大切さを見直そうと考える動きも出て来ています。
手によるマッサージが、不安定な精神状態にバランスと調和を取り戻させ、突発的、恒常的な緊張を解消するのに役立つことは、既に確認されています。
何故なら、皮膚は、脳と同じ胚葉組織(外胚葉)から生まれるからです。
皮膚には、受け取った情報を直ちに脳へと伝達する役割があり、その生体機能は極めて重要なものです。
ソシオエステティシャンが行なうケアも、全て、この皮膚を介して行うものです。
この事からも、ソシオエステティシャンが行なう顔や手、足へのマッサージは重要なケアであると言えます。
ソシオエステティシャンにとって、手は大切な道具であり、患者の皮膚は、その手の効果を生かす事ができる唯一の場であると考えられます。
顔は、その人のアイデンティティーや人生の葛藤が最もよく表れている部分です。
私たちソシオエステティシャンは、その顔に「手を当てる」事で患者の声に耳を傾け、皮膚を介し、心地良さや癒しを届けることで、患者に身体的な調和を感じてもらい、更には、精神的な調和をも取り戻してもらえるよう努めています。